会社員をやめると各種社会保険はどうなるんだろう。。
今まで会社が全部やってくれていたので分からないことだらけですよね。本記事では社会保険の基本からご説明いたします。
そもそも「社会保険」とは?
「社会保険」という言葉ですがそもそも何を指すのでしょうか。
「人生の様々なリスクに備えて、人々があらかじめお金(保険料)を出し合い、実際にリスクに遭遇した人に、必要なお金やサービスを支給する仕組みである」
第3章 日本の社会保障の仕組み|厚生労働省
具体的には日本の社会保険は「医療保険」「年金保険」「介護保険」の3つです。よく聞く「社会保険料」というのは主にこの3つの保険料を指した言葉になります。
病気になったとき、年をとったとき、介護が必要になったときなどにお互いが出し合ったお金で国民全体が支えあっていく仕組みが社会保険(公的保険)制度です。
※「労災保険」「雇用保険」の労働保険を合わせた5つが広義の社会保険になりますが、セミリタイアでは関連が薄い保険の為、今回は割愛します。
リタイア後も社会保険は継続加入が必要なのか?
では、サラリーマンを辞めると社会保険制度との関係はどうなるのでしょうか。結論を申し上げると、
日本は国民皆保険・皆年金制度の国。そのため「医療保険」「年金保険」「介護保険」全てリタイア後も継続して保険加入が必要です。
保険料の納付も必要ですが、当然保険サービスの給付も受けられます。
会社勤め中は会社が自動的に保険料の支払いをしてくれるのでイメージが付きにくいと思いますが、社会保険制度とはリタイア後も引き続きお付き合いしていくことになります。
リタイア前後での違い
ここからは「医療保険」「介護保険」「年金保険」3つの社会保険の制度概要とリタイア前後でどんな違いがあるのかをご紹介します。
医療保険
医療保険には「国民健康保険」と「健康保険(組合けんぽ/協会けんぽ)」の2種類があります。
※75歳以上の方は後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に加入することになります。
・「国民健康保険」
⇒主にに自営業・フリーランスの方が加入しているもの。
・「健康保険(組合けんぽ/協会けんぽ)」
⇒主に会社勤めの方が加入しているもの。
★リタイア後は「健康保険」を脱退し「国民健康保険」に加入するのが基本です。
ちなみに大企業は組合けんぽ、中小企業は協会けんぽが多いですね。
「国民健康保険」と「健康保険」の違い
「国民健康保険」と「健康保険」の主な違いを表で見てみましょう。

上記の通り、サラリーマン時代の健康保険との大きな違いは「扶養の仕組みの有無」と「保険料負担(労使折半か全額負担か)」と言えるでしょう。
みなさんが最も身近な病院での医療費負担ですが、国民健保・健康保険はいずれも3割負担で変わりませんのでご安心を。
健康保険の任意継続
会社を辞めたら国民健康保険しか選択肢が無いのか、というと、そうでもありません。
会社を辞めて最初の2年間は退職時に加入していた「健康保険」に加入し続けることも可能です。これを「健康保険の任意継続」といいます。
任意継続をする主なメリットは以下です。※退職後20日以内の手続きが必要です。
<健康保険任意継続のメリット>
・国保にはない「扶養」の仕組みがある。
⇒所得130万円未満の扶養家族がいる場合は任意継続の方が割安になる可能性がある
・標準報酬月額最高限度額(300,000円程度)がある。
⇒退職時の所得が高い場合は任意継続の方が割安になる可能性がある
ただし、会社の保険料半額支払いがなくなるので保険料はサラリーマン時代の倍になります。
国民健康保険への加入or健康保険の任意継続
どちらが割安なのか
扶養もあるし、標準報酬月額の最高額も決まっている健康保険の方がお得なのでしょうか。しかし一方では、国民健康保険には、世帯の総所得額による2割・5割・7割の法定軽減制度があります。
国民健康保険と健康保険の任意継続、どうちらがお得かは「どこに住民票があるか」「前年の所得はいくらか」「何人扶養家族がいるか」等によってケースバイケースです。
健康保険の任意継続は退職後20日以内に手続きをしなければ、理由が何であれ加入ができなくなってしまうので、リタイア直後に選択できるよう、計画的に検討しましょう。
市町村によって保険料が大きく違うので、リタイア後の居住地については国民健康保険料率も踏まえて考えなければですね。
尚、国民健康保険料の簡易シミュレーションはこちらのサイト(国保自動計算サイト)がお勧めです。
介護保険
介護保険とは40歳から64歳までの被保険者が保険料を支払うもので保険料は加入している健康保険と一緒に徴収されます。
料率は加入している保険内容にも拠りますが、国民健康保険では全国平均1.97%、最高限度額は17万円/年程度です。
※自治体によってはそれ以下に抑えている場合もあります。
40歳以上かつ何らかの健康保険に加入していれば自動的に徴収されるもので、健康保険に付随すると考えていただければ結構です。(特段リタイア後の手続きも不要です。)
年金保険
最後は年金保険(公的年金)です。
年金保険は大きく分けると「国民年金」「厚生年金」の2種類があります。
・「国民年金」
⇒20~60歳のすべての国民が加入するもの。
・「厚生年金」
⇒厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する人が加入するもの。
★リタイア後は厚生年金加入の「2号被保険者」から、国民年金のみの「1号被保険者」に変わるのが基本です。
※あくまで公的年金(社会保険上の年金)の話で上記以外にも企業年金、個人年金等があります。
「1号被保険者」と「2号被保険者」の違い
まずは「1号被保険者」「2号被保険者」(及び「その家族の3号被保険者」)の違いを見てみましょう。

上記表からもわかるようにリタイア後、1号被保険者となった場合の公的年金の負担額は16,540円/月(令和2年度)になります。
健康保険と異なり、厚生年金に「任意継続」の仕組みはありません。
年金保険料の免除制度について
ただし、リタイア後所得が大きく減った場合には年金保険料の免除制度も活用できます。
免除制度の対象となる所得額については以下表にまとめましたのでご確認ください。

前年度所得を元に計算するので、基本的にはリタイア後2年目から自分の所得を確認しながら免除申請を行っていくことになるかと思います。
【注意点】
免除制度を受けると個人型年金や国民年金基金への加入ができなくなります。また、当然ですが受給額についても後から追納しない限りは減ることとなりますので、ご注意ください。
本日は以上になります!
興味がある方はこちらもどうぞ。セミリタイアの先輩方のブログです
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