セミリタイアを目指す方には、2つの相反する悩みがあります。
- できるだけ早く会社を辞めたい
- とはいいつつ、不労所得だけで食っていくほどの資産を築くには時間がかかる
「セミリタイア」は、リタイア後も労働を続けることを前提としています。
目指す人
副業で月20万円稼げるようになったら、セミリタイアしよう。
そう考えていても、副業の成長には時間がかかります。
サラリーマンを続けながらの副業は、どう頑張っても時間の制約を回避できないからです。
そこでご提案したいのが「STEP FIRE」です。
STEP FIRE は、段階を踏んで、徐々に労働時間を少なくしていくリタイアメントスタイルです。

段階を踏むことで、より早く会社をやめることができ、若くて健康的な時間を有意義に使うことができます。
本記事では、この「STEP FIRE」の考え方・必要となる資産額を解説いたします。
「STEP FIRE」という用語はこのサイトが独自に定義したものです。一般用語ではないので、ご注意ください。
STEP FIRE: 段階的に労働時間を削減していくリタイアメントスタイル
STEP FIREは次の3つの「期」に分けられます。
- STEP1. サラリーマン期: 資産を増やすことに注力
- STEP2. 副業育成期: 副業を育成することに注力
- STEP3. 低労働期: とにかく働かないことに注力

STEP1. サラリーマン期:資産を増やすことに注力
STEP.1 サラリーマン期は、文字通りサラリーマンとして働く時期です。
ここで重視することは、以下3点です。
- 本業・副業でとにかく稼ぐ
- 支出を最適化する
- 余剰資金をガンガン投資に回す
STEP1では、リタイア後の生活を見据え副業を始めます。
本業に加えて副業も始めることから、総労働時間が長くなりますが、その分稼ぎも増えます。
この稼ぎが、後の「労働とはほぼ無縁の人生」に繋がることを常に意識して走り抜けましょう。
STEP1 → 2 移行条件
ここで、STEP.1からSTEP.2への移行条件、つまりセミリタイアの条件に触れておきましょう。
セミリタイアの条件は、それぞれの状況・リスク許容度によりますが、以下、リタイア条件の例として、参考にしていただければと存じます。
① 資産収入+副業収入+アルバイト給与* > 生活費
② 資産収入 > 住居費
※ リタイア後の見込みアルバイト給与額
条件① 資産収入 + 副業収入 + アルバイト給与 > 生活費
STEP FIREでは、フルタイムの労働をやめた後も、一定期間アルバイト等の労働を続けます。
ここではまず「リタイア後にアルバイトに費やしていい時間数」を決めましょう。
せっかくリタイアしても「アルバイト漬け」になっては意味がありません。できるだけ少ない時間に設定しましょう。
私の場合、週15時間(3時間/1日 × 5日)を目安にしています。これぐらいならバイトしてもいいかなー、という時間です。
これに、リタイア後に住む予定の都道府県における最低賃金をかけ、リタイア後の「アルバイト給与」の額を算出します。
この、アルバイト給与と資産収入・副業収入の合計額が生活費を超えれば、条件①クリアです。
条件② 資産収入 > 住居費
①の条件だけであれば、極論、貯金・資産「0」でも達成できてしまいます。
しかし、達成したいのは「経済的自由」であって、「副業・アルバイトで食べていく」ことではないはず。
リタイア後の生活を、副業とアルバイトの不安定な収入に頼るのにはこころもとありません。
そこで第二の条件「資産収入 > 住居費」です。
住居費は、生活費の大きな部分を占めます。
この住居費を配当等の不労所得で賄うことができれば、心理的安全性は大きく向上します。住居費の心配がなく「食費のことだけ考えていれば死ぬことはない」となれば、安心してSTEP2へ進めるでしょう。
それだけの資産があれば、突発的な事象が発生した際も、最悪資産を取り崩すことで、対応可能となります。
STEP2. 副業育成期: 副業を育成することに注力
STEP2 副業育成期では、サラリーマンをやめ、資産収入+副業収入+アルバイト給与 で生計を立てます。
重視することは、
- 副業を育てる
の1点のみです。
フルタイムの労働をやめたことで副業に注力する時間ができるはず。
週15時間(3時間/1日 × 5日)程度のアルバイトをしつつ、副業の稼ぎを伸ばしていきましょう。
副業は、ストック型のビジネスを志向することをお勧めします。
STEP 2 → 3 移行条件
副業収入が増加し、資産収入+副業収入で生活費を賄えるようになれば、STEP3に移行する時です。
資産収入+副業収入 > 生活費
アルバイトをやめたとき、副業は生業に変わっています。
STEP3. 低労働期: とにかく働かないことに注力
STEP3までくれば、あとはできる限り働かないことだけ考えます。
働きたければ働くし、働きたくなければ労働を抑える。まさに「FIRE」ですね。
資産収入+副業収入が生活費を超えていれば、少しずつ資産は増えていくはずです。
STEP FIREで会社を辞めるために必要な資産額
次のケースでSTEP FIREを目指す場合、会社を辞めるために必要となる資産額を計算してみましょう。
- 独身
- 生活費: 17万円/月、うち住居費:7万円/月
※ セミリタイア後も、生活費・住居費の変動は無し - リタイア後の副業収入見込み:5万円/月
- リタイア後のアルバイト給与:5.4万円
※ アルバイト時間:15時間/週
STEP1 → 2への移行条件は次のとおりでした。
① 資産収入+副業収入+アルバイト給与 > 生活費
② 資産収入 > 住居費
必要な「資産収入額」を計算する

上図のとおり、資産収入 XX万円が次の2つの条件を満たすとき、フルタイムの労働をやめ、STEP2(副業育成期)へ移行することが可能です。
- 10.4万円 + XX 万円 > 17万円
→ XX万円 > 17.0万円 ー 10.4万円
→ XX万円 > 6.6万円 - XX万円 > 7.0万円
必要な「資産額」を計算する
今回のケースでは、資産収入額が「7.0万円」を超えれば、条件①・②を満たし、会社を辞められることが分かりました。
では、資産収入「7.0万円/月」を生む資産額はいくらとなるでしょうか。
資産の想定利回りを4%/年として計算してみましょう。
必要資産額:(Y)
(Y)× 0.04 ÷12か月 = 7.0万円
(Y) = 7.0 × 12か月 ÷ 0.04 = 2,100万円
今回のケースにおいて、フルタイム労働をやめるには、2,100万円の資産額が必要となることが分かりました。
大きな金額ですが、完全リタイアを前提とすれば、この倍以上の資産額が必要となるであろうことを考えれば、比較的手が届きやすい額、と言えるのではないでしょうか。
なお、資産の想定利回りを4%/年 とする考え方については、以下の記事にて解説しております。

※ セミリタイアの条件は、各個人の状況・リスク許容度に大きく依存します。本項に記載するシミュレーションはあくまで目安として受け取っていただければと思います。
STEP FIRE まとめ

リタイア後の労働を前提としたリタイアメントスタイルは、以前より「サイドFIRE」、「バリスタFIRE」として定義されておりましたが、「段階を踏んで徐々に労働時間を少なくしていく」ということを強調する意味で、今回「STEP FIRE」という言葉を使わせていただきました。
リタイア後の労働時間は増やせば増やすほど、リタイアのハードルは下がります。
一方でリタイア後の労働時間を過剰に増やすことは、リタイアの満足度低下につながることでしょう。
本末転倒とならないよう、しっかりとリタイアメント計画を立てることが大切ですね。
それぞれの資産状況・リタイア希望時期・リスク許容度を勘案し、ベストなリタイアメントスタイルを見つけていただければと思います。本記事がその一助となれば幸いです。
Good Luck !!!