したい人
これまでは会社が計算してくれていた税金や社保料…そういえばセミリタイアしたらどうなるんだろう…
セミリタイア後に大きな固定費にもなり得る税金と社会保険料。
本日の記事はセミリタイア後に必要となる税金と社会保険料についての知識を総まとめしました。
基礎知識~実際にセミリタイア後どうしていけばよいのかまで、全体を理解いただけるような情報を詰め込みました。
(全部詰め込んだのでちょっと長くなってしまいました…汗)
この記事を読んでわかること
- 税金・社会保険料の基本的な仕組みがわかる
- セミリタイア後どのくらいの負担額になるかがわかる
基礎知識編

税金
税金については会社員時代と同じく、セミリタイア後も所得税と住民税が主に意識すべき点になります。それぞれについて基本事項を確認しましょう。
所得税
- 所得税とは…?
その年1年間(1月1日から12月31日)の所得に対して課される国税
- どのくらい払うの…?
所得に応じて所得の5%~45%の7段階の金額を支払(年額)
住民税
- 住民税とは…?
前年1年間(1月1日から12月31日)の所得に応じて課される市町村税
- どのくらい払うの…?
市町村によりますが概ね所得の10%程度の金額を支払(年額)
社会保険料
社会保険料は、税金とは異なり、会社員のときと会社員を辞めた後とで加入する内容が異なってきます。
具体的に言うと…
健康保険は「企業の健康保険組合への加入」から「国民健康保険への加入」になります。
年金保険は「第2号被保険者(国民年金+厚生年金)」から「第1号被保険者(国民年金)」に変更となります。
今回はセミリタイア後に主に加入する社会保険である「国民健康保険」と「国民年金保険」について以下基本事項を解説します。
セミリタイア前後の社会保険加入内容の違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご一読ください。

国民健康保険
- 国民健康保険とは…?
市町村が運営している健康保険です。日本は国民皆保険制度の国のため会社を辞めたら基本的にはこの健康保険に加入することになります。
- どのくらい払うの…?
市町村にもよりますが概ね前年所得の10%+35,000円程度を支払い(年額)
国民年金
- 国民年金とは…?
65歳からもらえる年金です。20歳以上の全国民が加入しています。
- どのくらい払うの…?
金額は一律16,540円/月を支払い(令和2年度)
セミリタイア後の負担を考えるうえで特に意識すべき点は「いつ時点の所得に対して課されるものなのか」。 前年の会社員時代の所得とセミリタイア初年度の所得は大きく異なるため、しっかり把握しておきましょう。
セミリタイア後の方針編

それではこれらの税金・社会保険料は、セミリタイア後にはそれぞれどのような扱いとなり、いくら払うことになるのか、について具体的にみていきます。
税金:非課税範囲の所得に抑える
所得税は、合計所得金額48万円(給与収入のみで103万円)以下の場合は非課税です。
そして住民税は、合計所得金額45万円(給与収入のみで100万円)以下の場合が非課税です。
※上記金額以上の所得があった場合でも、控除の適用によって非課税となる場合もあります。
基本的にセミリタイア後は大きな給与収入はない予定の為、アルバイトをする場合にも、所得税・住民税共に非課税になる「給与所得100万円」という金額を意識し、非課税世帯を目指すのがよいでしょう。
配当所得は?
給与所得以外にも配当所得が主な収入元となる方も多いでしょう。配当所得についてはNISA口座での取引であれば所得税・住民税、共にかかりません。NISA口座以外での取引の場合は「源泉分離課税」「総合課税」「申告分離課税」3つの選択肢があります。
配当所得の課税についてはこちらの記事に詳しく書きましたので、興味のある方は是非ご一読ください。

社会保険料
社会保険料は選択肢がいくつかあるため、税金よりもやや複雑で、所得や家族構成、居住地ごとに応じてシミュレーションが必要になってきます。1つ1つ具体的にみていきます。
健康保険料:任意継続制度を活用する
「前年所得に応じて」決まるのが健康保険料。
会社員でなくなった後は国民健康保険に加入するのが基本ですが、退職後2年間は会社の健康保険の任意継続という選択肢があります。
以下ケースで「国民健康保険」と「会社の健康保険に任意継続」どちらがお得かシミュレーションしてみます。
<家族構成>
夫1人・妻1人・子供1人
<年収>
夫600万(標準報酬月額50万)・妻129万(扶養)・子供0(扶養)
<居住地>
東京都港区
- 任意継続の場合
夫の保険料:標準報酬月額限度額30万円(限度額)で算出→29,610円
妻の保険料:0円(扶養)
子の保険料:0円(扶養)
⇒世帯合計の保険料:29,610円(月額)
- 国民健康保険の場合
医療分の保険料
所得割(4,240,000円 ×0.06)= 255,248円
均等割(30,600円× 3人)= 91,800円
支援分の保険料
所得割(4,240,000円×0.023)= 99,216円
均等割(10,800円×3人)= 32,400円
⇒世帯合計の保険料:478,664円(年額)⇒39,889円(月額)
【結論】
上記より、本ケースの場合は会社の健康保険の任意継続を選択した方が月1万円以上も安いということになります
- 任意継続には「扶養」の概念や「標準報酬月額の上限」があるため、家族がいて、年収が高い人には有利に働くといわれています。
- 任意継続の場合は「退職前最後の標準報酬月額」で計算されますので、「扶養」があれども2年目からは国保の方が有利な場合も大いにあり得ます。
- 国保は世帯総所得額によって減免措置があるのでこちらも意識しておきましょう。
尚、国保料は自治体によって異なります。詳しい計算方法や実際に自分の支払額を計算してみたい方はこちらの記事もご一読ください!

国民年金:免除制度を活用する
国民年金には所得額に応じた減免措置があります。
しかし年金保険は納めた額に応じて将来の年金額も変わってくるもの。全額納める方針で行くか、免除する方針でいくか…は意見が分かれる点です。
まず、国民年金を納め続けることのメリットは主に以下です。
- 生きている限りもらえるので長生きリスクに対応できる
- 支払った額は社会保険料控除の対象になる
※免除条件は【(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円】であるため、それ以上の所得を得たい場合はそもそも免除されません
では、国民保険を納め続けた場合と免除した場合の納付額と受給額の差を確認してみましょう。(令和2年度時点)
- 20歳新卒、35歳でセミリタイア、以降全額免除の場合
納付額:16,540円×12か月×15年=2,977,200円
支給額:781,700円×[180ケ月+(300ヶ月÷2)/480ヶ月]=537,419円/年
- 20歳新卒、35歳でセミリタイア、以降全額納付
納付額:16,540円×12か月×40年=7,939,200円
支給額:満額 781,700円/年
⇒納付額では4,962,000円の差、支給額には244,281円/年の差ができることになります。
単純計算すると20年間年金受給すれば、納めたほうが有利という結果になりますが、この納付額の差を他の投資にまわすか、長生きリスクに備えた終身年金額に回すか…なんともここは悩ましい問題です。
今のところ、何歳からいくら受給できるか不透明、かつ、500万円をインデックス投資等自分で行える投資に回したほうが有利では、ということで私は全額免除の方向で考えております。が、悩ましいですね…
税金社保料を抑える方法編

最後にセミリタイア後の税金・社会保険料支払い額を抑える方法について、何点かまとめました。
税金:非課税内の収入に抑えるのが基本
- 基本は非課税内での収入に抑える
基本的には給与収入100万円以内であれば所得税・住民税は非課税。会社員を辞めた以上はこの範囲内をしっかり意識しましょう。
- 事業所得のある方は青色確定申告の活用
給与所得だけでなく、事業所得がある方は青色確定申告を活用すると65万円の特別控除がうけられます。詳しくはこちらの記事もご参照ください。

社会保険料:居住する自治体や加入国保を選ぶ
- 居住する自治体を選ぶ
実は国民健康保険料は自治体によって大きく金額が異なります。
以下サイトでは全国平均や自治体ごとの国保料が確認できますので是非一度ご覧になってみてください。
http://www.kokuho-keisan.com/(国保自動計算機)
https://5kuho.com/meyasu/(国民健康保険の情報サイト)
- 国保組合を選ぶ
市長村の運営している国民健康保険以外にも、ある特定の事業・業務の従事者で組織されている国民健康保険組合というものもあります。
弁護士、税理士、美容師、建設、衣料、食品、文芸、薬剤師…等の業種の団体があります。
業界によっては市町村国保よりも割安なこともありますので、一度調べてみることをお勧めします。
税金・社保料を制し、セミリタイアを成功させましょう!
税金、社会保険料の総まとめは以上になります!
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